きれいに作るほど、うちの店に見えなくなる
書いた人: 服部健太(一宮ではかぜ整体院を経営)
AIに頼んでチラシを作り直したら、見違えるほどきれいになった。文字の大きさが揃って、余白が効いていて、色も落ち着いている。刷り上がりを手に取って、悪くないなと思う。
それを店先に置いて、しばらくして気づくわけです。前の、素人くさいほうのチラシのほうが、なんとなく手に取られていた。
どこが悪いのか分かりません。書いてある内容は前より整理されているし、間違いもない。それなのに、通りすがりの人の目が滑っていきます。
整えると、情報ではなく気配が消えます
きれいに作った紙面から抜けているのは、情報ではありません。抜けているのは、誰が作ったのかという気配のほうです。
前のチラシには、たぶん歪んだ手書きの見出しとか、写真の端に写り込んだ店内とか、そういう整っていない部分がありました。整えるというのは、その凸凹を平らにならす作業です。読みやすさは上がって、そのぶん店の顔が薄くなる。
AIに任せると、この平らにする力がずいぶん強く働きます。誤字は直るし、言い回しも標準的になる。標準的というのは、どこの店に置いても通る文章になった、ということでもあります。
そこで私は、印刷物を作るとき、人の手が入った箇所を一つだけ残すようにしています。全部を手書きに戻すのではありません。整った紙面の中に、明らかに機械が書いていない部分が一箇所あると、そこで目が止まる。読む順番が、そこから始まります。
今日からできる最初の一歩
書き足す言葉は上手でなくてかまいません。むしろ整いすぎた字だと、印刷の一部に見えて効きません。
③で何を書くか迷ったら、来店した人から一番よく聞かれることへの返事を書くのがいいはずです。すでに口で答えている内容なので、悩まずに出てきます。
- ① AIに整えてもらった紙面を、刷る前に一度そのまま声に出して読む
- ② どこにも自分の言葉がないと感じたら、書き込むための余白を作っておく
- ③ その余白に、店主の字で短く書き足す(今日のおすすめ、来店へのひとことなど)
- ④ 店先に置いて、前の版と手の取られ方を見比べる
入り口の先へ
どこを手書きに残すかは、業種で変わります。日替わりのある店なら、その欄が向いています。予約が中心の店だと、書き込む欄が空のままだと逆に締まらない、ということも起きる。手書きが向かない紙もあります。
20分の無料AI診断では、いま配っている紙を見ながら、どこを機械に任せてどこを人の手に残すかを一緒に決めています。刷ったあとより、下書きの段階で持ってきてもらえたほうが直しやすいです。