チラシ・販促物

そのチラシ、どこで手に取られますか

書いた人: 服部健太(一宮ではかぜ整体院を経営)

チラシを作ろう、と思い立った日のことを思い出してみてください。たいてい、いきなり紙面のことから考え始めます。メニューを載せて、地図を載せて、写真も入れたい。そうやって出来上がった一枚を、束で刷ってもらう。

私もそうでした。刷り上がったものを見て、我ながらよく出来たと思って。それから、さてこれをどうやって配ろうか、と考え始める。順番が逆だったんですね。

同じ紙が、手渡しでは温かく見えて、店先に置くと素通りされる。ポストに入れると、読まれる前に他の紙と一緒にまとめられる。中身は一文字も変えていないのに、です。

読まれる時間が、そもそも違う

手渡しのチラシは、渡す前にひと言交わしています。「よかったらどうぞ」の一言があるだけで、受け取った人はもう相手の顔を知っている。だからこの紙の役目は、説明することではなく、あとで思い出してもらうことになります。屋号と場所と、どんな時に行けばいいか。それくらいで足りることが多いです。

店先に置いた一枚は、逆です。誰も一言もかけてくれません。通りがかりの人が立ち止まるかどうかは、上から数センチを見た数秒で決まります。ここで必要なのは、これは自分に関係のある紙かどうかが、目を動かさずに分かること。

ポストに入る紙はもっと厳しくて、頼んでもいないのに届いています。読む側の最初の気持ちは、期待ではなく警戒に近い。売り込みの匂いが先に立つと、中を開く前に終わります。

つまり、書くことが変わるのではありません。同じことの、どこを大きくするかが変わる。手渡しなら思い出のきっかけ、店頭なら誰向けかの札、ポストなら警戒を解く一行。同じ材料でも、並べ替えが要るわけです。

この並べ替えは、AIに相談すると早く進みます。すでにある文章を丸ごと渡して、「これを店先に置く用に、上から数秒で分かる形に直して」と頼む。ゼロから書いてもらうより、こちらの言いたいことが残ったまま形だけ変わるので、後で直す手間が少なくて済みます。

今日からできる最初の一歩

ここまでやっても、刷り直す必要があるとは限りません。順番を変えるだけで通じる紙になることは、わりとよくあります。

紙を増やすより、いま持っている一枚の役目をはっきりさせるほうが先だと思っています。

  • ① 手元にある自店のチラシを一枚持ってきて、裏に「どこで渡すつもりだったか」を書いてみる。すぐ書けないなら、そこが弱点です
  • ② 配り方を三つ並べて、いま一番現実的なものを一つだけ選ぶ。手渡し、店頭置き、ポスト。全部に効く一枚を目指さない
  • ③ 選んだ配り方で、受け取る人が最初に知りたいことは何かを一行で書き出す。ここが紙面の一番上になります
  • ④ その一行と今のチラシの文章をAIに渡して、「この配り方に合わせて、順番だけ入れ替えて」と頼んでみる。文言はまだ触らなくて構いません

入り口の先へ

どの配り方が向いているかは、お店の立ち方で変わります。通りに面していて人が歩いているなら店頭置きが効きますし、予約で回るお店なら、来てくれた方への手渡しのほうが次につながりやすい。同じ商売でも、駅からの距離ひとつで答えが変わることがあります。

六十分のAI活用診断では、いま使っているチラシやカードを持ってきていただいて、配り方から逆に組み直すところを一緒にやっています。作り直すか、順番を変えるだけで済むか。その見極めまで持ち帰ってもらうところを一区切りと考えています。

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