その説明、今週で何回しましたか
書いた人: 服部健太(一宮ではかぜ整体院を経営)
初めてのお客様が来られたとき、どこまで口で説明しているでしょうか。駐車場はどこに停めればいいか。初回は何を持ってくればいいか。予約を変えたいときはどこに連絡すればいいか。
私は長いこと、これを全部口で言っていました。言えば済むからです。相手の顔を見ながら話せるし、その場で質問にも答えられる。紙にするという発想が、そもそも出てきませんでした。
気づいたのは、同じ日に同じ話を三度した日でした。一言一句、ほとんど同じことを言っている。台本があるわけでもないのに、毎回同じ順番で、同じ言い回しで。それはもう、頭の中に原稿があるということなんですね。
説明している自覚が、いちばんの壁
この手の仕事が残り続けるのは、面倒だからではありません。作業として数えられていないからです。書類仕事なら「今日はこれをやった」と自分で分かる。口で説明したことは、記録に残らないまま一日が終わります。
しかも自分にとっては当たり前すぎる話なので、説明という感じがしません。挨拶の延長みたいなものです。数えていないものは、減らしようがない。
聞いた側の事情もあります。初めての場所で、初めて会う人の話を、その場で全部覚えられる人はあまりいません。半分は帰る途中で抜けていく。それで後から電話がかかってきて、こちらはまた同じ説明をする。悪循環というほど大げさではないにせよ、静かに時間が溶けていきます。
ここで大事なのは、新しく文章を考えなくていい、ということです。毎回同じ言い方をしているなら、原稿はもう出来上がっています。あとは口から紙に移すだけ。書き出す作業ではなく、書き起こす作業だと思うと、急に軽くなります。
AIに頼むなら、この移し替えのところが向いています。自分が普段しゃべっている言葉をそのまま渡して、案内文の形に整えてもらう。ゼロから書いてもらうと、どこか他所のお店の文章みたいになります。自分の言葉が残っていたほうが、読んだお客様も安心するはずです。
今日からできる最初の一歩
一枚にした時点で、渡さなくても効果はあります。説明の順番が固まるので、口で言うときも早く終わるようになる。
全部を紙に移す必要もありません。よく聞かれる二つか三つが片付けば、体感はずいぶん変わるはずです。
- ① 一週間だけ、お客様に口で説明したことをスマホのメモに一行ずつ足していく。文章にしなくていいので、単語で残す
- ② 週末に見返して、二度以上出てきたものに丸をつける。だいたい四つか五つに収まります
- ③ 丸のついたものを、自分が普段しゃべっている口調のままAIに渡して「お客様向けの案内文に整えて」と頼む
- ④ 出てきた文を一枚にまとめて、まず自分の手元に置く。お客様に渡すのは、しばらく眺めてからで構いません
入り口の先へ
その一枚を、どこに置くかは店ごとに違います。受付に貼るのが効くお店もあれば、予約が入った時点でメッセージで送ってしまったほうがいいお店もある。ホームページのよくある質問に並べたほうが、そもそも電話が減る場合もあります。お客様がどの時点で迷っているかで、置き場所は変わります。
六十分のAI活用診断では、この「毎回口で言っていること」の洗い出しを一緒にやっています。何を紙にして、何は口のまま残すか。そこの線引きまで持ち帰ってもらうところを一区切りと考えています。