AI導入

スタッフがAIを使わないのは、やる気の問題じゃない

書いた人: 服部健太(一宮ではかぜ整体院を経営)

AIが便利だと分かったオーナーが、次にやることはだいたい同じです。スタッフのぶんもアカウントを用意して、朝礼で「これ使えるから、触ってみて」と伝える。私もやりました。

そして一週間後、誰も開いていない。悪気があるわけでもなく、聞けば「なんか、何を入れたらいいか分からなくて」と返ってきます。ここで「うちのスタッフはやる気が無い」と結論を出してしまうと、話が止まります。

止まった理由は、たぶんもっと手前にあります。

白紙の入力欄は、それ自体が仕事です

オーナーにとって、AIの画面は面白い遊び場です。何を頼もうか考える時間が、そもそも楽しい。新しい道具をいじるのが好きだから、店をやっているような面もあると思います。

でも、現場に立っている人から見ると、あの白紙の欄は「今日やることが一つ増えた」という景色です。何を頼めばいいか考えて、言葉にして、出てきたものが使えるか判断する。三つとも、それなりに頭を使う作業でしょう。忙しい時間帯に、わざわざ増やそうとは思わないはずです。

だから広げ方を変えました。使い方を教えるのをやめて、こちらで用途を一つに絞って、頼み方の文まで作ってしまう。相手がやることは、貼って、押して、直すだけ。私はこれを「ボタン1つまで作り込む」と呼んでいます。

うちの整体院では、まずお客様への返信の下書きだけに絞りました。ほかにも使えそうな場面はありましたが、あえて出しませんでした。入り口が二つ以上あると、人はまた選ぶところから始めることになります。

今日からできる最初の一歩

①で選ぶときのコツは、自分が面倒だと思っている作業ではなく、スタッフが面倒だと思っている作業を選ぶことです。ここを間違えると、便利な道具ではなく、店長の趣味に付き合わされている時間になります。

  • ① 店の中で一番よく起きる文章仕事を、一つだけ選ぶ。毎日か毎週かならず発生して、答えの形がだいたい決まっているものがいいです。口コミへの返信、予約確認の連絡、注意書きの張り紙あたり
  • ② 自分がその作業をAIに頼むときの文を、そのまま書き出して保存する。「うちは◯◯という店です。こういう返信を、堅くなりすぎないように」くらいの粗さで十分です。凝った文にすると、あとで自分も直せなくなります
  • ③ スタッフの前で一度やって見せる。説明ではなく実演です。出てきた文をその場で自分の言い方に直すところまで見せると、「あ、直していいんだ」が伝わります
  • ④ 二週間は、そこから広げない。ほかの用途を思いついても我慢する。一つが習慣になってから、二つ目です

入り口の先へ

作り込みすぎるとどうなるか、という失敗もしました。私が手順を細かく決めた結果、少しでも違う場面が来ると誰も応用できなくなって、結局こちらに聞きに来る。ボタン1つにするのは入り口だけで、その先は本人に触らせたほうが早い、というのが今のところの実感です。

どの作業を最初の一つに選ぶかは、業種でもスタッフの人数でも変わります。飲食と整体では、そもそも一番時間を取られている文章仕事が違いました。20分の無料AI診断では、いまお店で誰が何に時間を使っているかを並べてから、最初の一つを一緒に決めています。

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